Fガス規制

概要

2006年、EUは気候変動に対処するため、影響が特定の産業分野に限定される最初のFガス規制導入を決定しました。 これが規則(EC)842/2006(最初のFガス規制)です。これはハイドロフルオロカーボン(HFC)に起因する環境問題に積極的に取り組む次なるFガス規制に向けた準備段階でした。

規則(EU)517/2014は、温室効果フッ素化ガス(HFC)をEU市場に上市する際のルールを定めたもので、2014年末に公布されました。

欧州改正Fガス規制(REGULATION (EU) No 517/2014 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 16 April 2014.

これら「Fガス」は環境に劇的な影響を与えるため、EUは2030年までに79%を段階的に削減することを決定しました。 このため、2015年1月1日から割当制度が導入され、下記のように3年ごとにFガス総量を段階的に削減することになりました。

HFC の段階的削減

この2回目の「Fガス規制」は、エアコン事業などこれらのガス、またはこれらのガスに依存する製品を扱う業界にとって、状況を一変させるものです。

現在、Fガス規制の3回目の改正が進行中で、HFCガスに対する一層の規制強化の傾向が見られます。


規制の枠組み

  • 2024年4月16日付 改正Fガス規制 Regulation (EU) No 517/2014 。EUと北アイルランドを網羅する割当制度を定めたFガス規制。GB(イングランド、スコットランド、ウェールズ)は、この規制を修正版として採択。
  • 2014年10月30日付 欧州委員会施行規則 Commission Implementing Regulation(EU)No. 1191/2014。バルクガスと機器の両方で上市されたHFCを正しく報告するためのガイドラインを設定。
  • 2016年6月2日付 欧州委員会施行規則 Commission Implementing Regulation(EU)879/2016。 第2次Fガス規制第14条で求められる適合宣言書の書式を導入。
  • 2018年12月17日付 欧州委員会実施決定 Commission Implementing Decision(EU)2023/2018。英国がEU離脱(Brexit)を決定したことを承認。
  • 2019年4月25日付 欧州委員会施行規則 Commission Implementing Regulation(EU)661/2019。 同一受益者を持つ企業によるEU割当量の多重申請を防ぐため、EU Fガスポータルの登録プロセスのより厳格な基準を導入したもの。これは第2次Fガス規制導入後に横行したHFCの違法取引への対抗措置の一環で、2015年5月20日付 欧州議会および欧州理事会の指令 Directive (EU)849/2015 of the European Parliament and of the Council に言及。
  • 2021年6月17日付 欧州委員会施行規則 Commission Implementing Regulation(EU)980/2021。EU域外の事業者に対し、EU割り当てを使用してバルクHFCをEU市場に上市させる際にはEUのEORI番号を申請しなければならないという新たな要件を設定。

Fガス規制の影響を受ける業界

この規制の影響を受ける業界は広範囲に及びますが、大きく2つに分類できます:

  • バルクHFCの輸入業者/製造者
  • HFCに依存して機能する機器(プレチャージ機器)の輸入業者/製造者

最も影響を受ける事業と製品は以下の通りです:

  • 自動車
  • 空調
  • 冷凍
  • 白物家電(衣類乾燥機、給水器など)
  • レーザー医療装置
  • エアロゾル
  • 防火設備

Fガス規制の概要

Fガス規制は2015年1月1日から割当制度を導入しました
バルクでのHFC市場への割り当ては年単位で発表され、有効期間は1年間のみです。.
12月31日までに使用しきれなかった場合、未使用分は失効することになります。

この分野への新規事業者の参入を可能にするため、年間割当枠を以下のように分割することが決定されました:

  • 89% を既存事業者への割り当てとする
  • 11% を新規参入事業者への割り当てとする

次年度の申請には期限があり、これは気候行動総局 (DG Clima)がEC官報で発表します。

これにより、現在EUとGBのFガスポータルは2つのタイプに分かれています:

  • 既存事業者:これらの事業会社は、第1次Fガス規制の適用範囲にあり、2009年以降の消費量実績の報告義務があります。2009年から2012年の消費量実績平均に基づき申請基準値が算出され、これを基に、毎年既存事業者に割り当てられる89%の割当量の中から分配されます。
  • 新規参入事業者: 申請基準値のない事業者。これらの事業者は既存事業者と比べるといくつかの制限事項があり、より制約的です。

企業の「申請基準値」は、2015年以降のHFC市場での消費量実績の平均値です。
EU割り当てが毎年公平に分配されるよう、この 「申請基準値 」は3年ごとに再計算されます。

Fガス報告: HFCを上市する各事業者は、翌年3月31日までに前年の活動を報告する義務があります。

実績が所定の数値を超えた場合、Fガス監査が法的に要求されます。

独自の検証を行うための基準値は以下の通りです:

  • バルクHFC:CO2換算値で年間10,000トン以上
  • 機器にプレチャージされたHFC:CO2換算値で年間100トン以上

割り当ての種類

割り当てには3つの種類があります:

  • バルクガスの輸入に関する割り当て→EU委員会により既存事業者および新規参入事業者の双方に毎年付与されます。
    この割り当ては以下のような場合に利用できます:
    • 冷媒ガスの輸入
    • 冷媒ガスを輸入するために他の事業者へ譲渡
    • HFCをプリチャージした機器を輸入するための他の事業者への認可
  • HFCでプレチャージされた機器を輸入するための割り当ての認可。
    このタイプの割り当ては、HFCでプレチャージされた機器を輸入する際に他の事業者に委任することができます。
  • HFCでプレチャージされた機器を輸入するための割り当ての委任。
    受益者による使用に限られます。

罰則

Fガス規制第25条では、割り当てを超過して輸入した事業者に対する罰則を定めており、加盟国による重い罰則も課されます。
割り当て超過に関する罰則: 利用可能な割り当てを超過して上市した重量(CO2換算値)の200%。例は下記参照:

CO2換算値(t-CO2)
年間割当量 10,000
輸入量 11,000
割当量超過 1,000
罰則 2,000

GWP(地球温暖化係数)コンバーター

HFCの取扱いには割り当てが必要です。
輸入量に対し十分な割り当てを確保することが重要です。

  • この規制では、CO2換算値(温室効果ガスの環境不可)を単位としています。
  • 各冷媒は、規則 (EU) 517/2014*の附属書 Iの表に従い、GWP(地球温暖化係数)に基づいてCO2換算値(t-CO2)に変換されます。
  • GWPが高いほど、その冷媒の環境負荷は高まります。
対象物質 GWP (1)
製品名 化学名(一般名) 化学式
セクション1: ハイドロフルオロカーボン(HFCs)
HFC-23 トリフルオロメタン
(フルオロホルム)
CHF3 14 800
HFC-32 ジフルオロメタン CH2F2 675
HFC-41 フルオロメタン
(フッ化メチル)
CH3F 92
HFC-125 ペンタフルオロエタン CHF2CF3 3 500
HFC-134 1,1,2,2-
テトラフルオロエタン
CHF2CHF2 1 100

* 規則(EU)No.517/2014 - 附属書 I 

下記のGWPコンバーターを使用して、冷媒ガスに必要なCO2換算値(t-CO2)を確認できます。

冷媒の種類を選択して下さい:
地球温暖化係数 (GWP)
1430
排出量(kg):
CO2換算値(t-CO2)での排出量:
4,470.00 t-CO2

特殊混合ガス

特殊混合ガスに使用されている物質を選択して下さい。
HFC以外の場合は、「NON-HFC 」と表示された行を1行追加して下さい。
リストが完成したら、「確認 」を押してください。
混合ガスに含まれる全ての物質をリストアップして下さい。 物質の数に制限はありません。

1

Scroll the bar to enter the correct percentage for each substance in the blend.

  • Confirm to calculate the GWP
  • Return to add/change the list of substances

Enter the weight of the blend in kilograms:

Global Warming Potential (GWP)
Charge (kg):
Charge in tCO2eq:
4,470.00 tCO2eq.

 

 

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